北海道産落葉広葉樹実生の成長および物質分配の季節変化

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  • Seasonal Patterns of Seedling Growth and Dry Matter Partitioning of Deciduous Broad-leaved Trees in Hokkaido
  • ホッカイドウサン ラクヨウ コウヨウジュ ミショウ ノ セイチョウ オヨビ ブ

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抄録

北海道産落葉広葉樹11種(ウダイカンバ,アサダ,ミズナラ,ハルニレ,オヒョウ,カツラ,ホオノキ,シナノキ,ハリギリ,ヤチダモ,アオダモ)の伸長・肥大成長と着葉枚数の季節変化,および5種(ウダイカンバ,ミズナラ,ハルニレ,カツラ,ヤチダモ)の物質分配の季節変化について,当年生あるいは1年生実生を笛畑で生育させ,6月下旬から11月中旬にかけて調査した.伸長成長および着葉枚数の季節変化においては2群に分類することができた.8月下旬あるいは9月中旬に着葉枚数が最大になり(順次開葉型),伸長成長量の大きなウダイカンバ,アサダ,ハルニレ,オヒョウ,カツラの種群,および着葉枚数に変化が少なく (一斉開葉型),伸長成長量の小さなミズナラ,ホオノキ,シナノキ,ハリギリ,ヤチダモ,アオダモの種群である.また,個体成長率(RGR)から伸長および肥大成長の季節変化を解析した結果,伸長成長が優勢なパターン,肥大成長が優勢なパターン,明確な優劣が認められない中間的なパターン,肥大成長優勢→伸長成長優勢→肥大成長優勢というように優劣関係が変化するパターンの4パターンに分けられた.先駆樹種であるウダイカンバは伸長成長が優勢なパターンを示し,極相林優占樹種であるミズナラ,ヤチダモは肥大成長が優勢なパターンを示した.物質分配の季節変化においては,ウダイカンバは枝への分配率が高く,8月下旬まで葉の分配比率が高まった.ミズナラは枝への分配率が低く,根への分配率が上昇した.ヤチダモは全く枝を生産しなかった.ハルニレ,カツラは生育期間中における分配率の変化が比較的小さかった.T/RおよびC/Fの季節変化においては,ミズナラが他の4樹種とほ異なった変化を示し,特にC/Fは直線的に上昇した.伸長・肥大成長,着葉枚数,および物質分配における季節変化は樹種によって異なっており,それらの特徴は,遷移系列上の位置と関係あるものと考えられた.

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