ステロイド動注療法を用いた劇症肝炎の新たな治療戦略

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  • 古藤 和浩
    九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野
  • 髙栁 涼一
    九州大学大学院医学研究院病態制御内科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A New Treatment Strategy for Fulminant Hepatic Failure with Transcatheter Arterial Steroid Injection Therapy
  • ステロイドドウ チュウ リョウホウ オ モチイタ ゲキショウ カンエン ノ アラタ ナ チリョウ センリャク

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抄録

急性肝炎のほとんどは無治療で軽快するが,ごく一部の症例では急性肝炎重症型・劇症肝炎へと進行する.劇症肝炎の予後は極めて不良であり,肝移植以外に確立された治療法は認められていない.血漿交換や透析などの補助療法が普及した現在でも,我が国の内科的救命率は50%程度であり,特に亜急性型では25%程度に過ぎない.唯一の治療法である肝移植についても,急速な病状の進展にドナーの対応が追いつかないことが多いという難点がある.劇症肝炎の治療成績が改善しない最大の理由は,その発症メカニズムが未だ解明されていないことにある.劇症肝炎は症候群であり,末期像は共通しているものの,その成立過程は一様ではない.これまでの議論は,あまりにもこの点について無頓着であった.我々は,急性肝炎重症型・劇症肝炎症例の多くについて,その成立には肝内網内系の異常活性化が関与しているのではないかと考え,ステロイド動注療法という新たな治療法を開発した.同時に,急性肝炎重症型・劇症肝炎症例の成立機序を類型化し,それに沿った治療戦略を提唱してきた.本稿では,類型化の概略と治療選択の方法について述べたい.

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