広範前壁急性心筋梗塞による重症左室機能低下例でアミオダロンにより急性呼吸促迫症候群を惹起し,救命し得なかった症例

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タイトル別名
  • A Fatal Case of Amiodarone-Induced Acute Respiratory Distress Syndrome in a Patient with Severe Left Ventricular Dysfunction Due to Extensive Anterior Acute Myocardial Infarction
  • Fatal Case of Amiodarone Induced Acute Respiratory Distress Syndrome in a Patient with Severe Left Ventricular Dysfunction Due to Extensive Anterior Acute Myocardial Infarction

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抄録

71歳,男'1生広範前壁急性心筋梗塞による心源性ショック状態で,非持続性心室頻拍が頻発していた.まず大動脈内バルーンパンピングを挿入し,血行動態を安定化させた.冠動脈造影上,左冠動脈前下行枝,回旋枝,右冠動脈の近位部が完全閉塞していたが,回旋枝および右冠動脈は側副血行路にて栄養されていた.責任病変は左冠動脈前下行枝と考え,インターベンションを施行した.インターベンション中,心室頻拍/心室細動となり,電気的除細動を繰り返した.左冠動脈前下行枝領域の虚血解除にても心室頻拍/心室細動が改善せず,シンビット点滴にて心室頻拍/心室細動は消失した.血行動態が安定し,大動脈内バルーンパンピング挿入のまま集中治療室へ入室し経過観察した.入院翌日よりアミオダロンを開始し,20病日までは酸素化も良好だったが,21病日,急性呼吸促迫症候群の所見を認め,ステロイドパルス療法を開始した.胸写上,徐々にではあるが,急性呼吸促迫症候群所見は改善傾向に向かった.しかしながら,ステロイドパルス療法による非ケトン性高浸透圧性昏睡,低アルブミン血症,消化管出血による軽度の貧血を合併し,輸血およびアルブミン投与も無効で,救命し得なかった.アミオダロンによる肺障害は重篤な合併症の1つであるが,本症例のように重症左室機能障害を有する症例では,肺うっ血と早期のアミオダロンによる肺障害の鑑別が困難なことがあり,十分に留意する必要がある.

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