超緊急生体肝移植により救命し得た亜急性型劇症肝炎の一例

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タイトル別名
  • A Successful Case of Living Donor Liver Transplantation Performed in 7 Hours for SubAcute Fulminant Hepatitis
  • 症例 超緊急生体肝移植により救命し得た亜急性型劇症肝炎の一例
  • ショウレイ チョウキンキュウ セイタイ カン イショク ニ ヨリ キュウメイ シエタ アキュウセイガタゲキショウ カンエン ノ イチレイ

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抄録

劇症肝炎は肝炎発現後8週間以内に肝性昏睡Ⅱ度以上の脳症を来しプロトロンビン時間(PT)40%以下を示すものと定義される.その中でも亜急性型は急性肝炎発症後10日以降に脳症が発症したものをいい,予後不良と言われている.肝移植は劇症肝炎に対する根本的治療であり,予後不良である亜急性劇症肝炎においても高い治療効果が期待できる.劇症肝炎に対する肝移植は,肝不全による急性脳障害が不可逆性となる前に施行することが必須である.逆に脳症が出現しない場合は移植適応となることは少ない.すなわち,脳症の進行が急速であればあるほど肝移植を適応遂行することが可能な時間は短い.生体肝移植は脳死肝移植に比し,より短時間で肝移植の遂行まで到達できる可能性はある.しかし,限られた時間内で移植の適応を判断し,レシピエント,ドナー双方の術前評価を行う必要があり,手術の根治性と安全性の確保のためには,各部門の密接な連携と系統的な体制の確立が重要である3).今回我々は急激な肝萎縮と脳症悪化を認める劇症肝炎症例に対し緊急搬送後7時間で生体肝移植を施行し救命した一例を経験した.当院での手術に至るまでの時間はもちろん肝炎の診断から亜急性劇症肝炎の診断に至るまでの1次〜3次救命救急病院間の連携,移植の適応評価からドナー評価に至る時期が的確であり治療の模範例とも思われる症例であったので報告する.

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