森林表土を用いた緑化における表土採取場所よる土壌侵食量の違い

  • 岩崎 貴大
    九州大学農学部 | 長崎県五島振興局
  • 篠原 慶規
    九州大学大学院環境農学部門森林環境科学講座森林保全学分野
  • 大谷 荘平
    九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻森林環境科学コース森林保全学分野
  • 久保田 哲也
    九州大学大学院環境農学部門森林環境科学講座森林保全学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of sampling sites on soil erosion for slope revegetation using forest topsoil
  • シンリン ヒョウド オ モチイタ リョッカ ニ オケル ヒョウド サイシュ バショヨル ドジョウ シンショクリョウ ノ チガイ

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抄録

林道法面などにおいて緑化を行う際, 近年, 外来植物種子に代わり, 森林表土が緑化の材料として使われるようになってきた。森林表土を用いて緑化を行うと, 様々な種類の草本類・木本類が入り混じって生育することから, 外来緑化植物と比較した場合, もしくは異なる森林表土間で, 土壌侵食量は大きく異なる可能性がある。本研究では, 九州大学福岡演習林内の3ヶ所(御手洗水・生ヶ谷・新建)において採取した森林表土を3cm厚さで撤きだし, 埋土種子植物を発芽させ, 成長させた。さらに, 人工降雨装置を用いて侵食試験を行い, これら3種類と外来緑化植物であるパミューダグラスの土壌侵食量, および裸地の土壌侵食量を比較した。植物を生育させたボックスの土壌侵食量は, 最大でも裸地の15%程度であり, 既往の研究と同様に, 植生による土壌侵食防止機能が発揮されていた。生ヶ谷とパミューダグラスは, 被覆率が大きくなると土壌侵食量が小さくなる傾向があったが, 御手洗水と新建ではすべてのボックスにおいて, 被覆率に関わらず土壌侵食量は小さかった。これは, 土壌侵食量が小さくなる被覆率が, 採取した森林表土間で異なることを示唆している。生ヶ谷と御手洗水は, 被覆率や生育本数, 木本種と草本種の割合がほぼ同じであるにも関わらず, このような差が見られた。このことから, 森林表土を用いた緑化の場合, 土壌条件など, 被覆や生育本数, 植物種以外の影響を強く受ける可能性がある。

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