新建川の河川間隙水域における細粒土砂濃度の変動

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タイトル別名
  • Dynamics of fine sediment concentration in the hyporheic water in the Shintate River, northern Fukuoka
  • シンケンガワ ノ カセン カンゲキ スイイキ ニ オケル サイリュウ ドシャ ノウド ノ ヘンドウ

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抄録

細粒土砂による河床の目詰まりが河川間隙水域の機能を低下させていることが近年報告されているが、河川間隙水域における細粒土砂の動態はほとんど理解されていない。そこで本研究は、出水に注目し、河川間隙水域内の細粒土砂量の変動を調査した。河川間隙水域は地下に存在するためにその調査が難しく、流路内環境との関係性を見出すことが有効である。水深や流速、土砂堆積量といった流路内環境と細粒土砂濃度との関係性も調べた。調査は、福岡演習林を源流にもつ新建川で、2012年10月-11月の平水時に2回、2012年12月の出水時に2回行った。河川間隙水域の細粒土砂濃度は平水時に比べると出水時の方が高かった。平水時に湧水傾向にある調査区間において、出水時には河川水の伏流がみられ、河床へ流入する表流水が河川間隙水域への細粒土砂の流入を促していることが示唆された。細粒土砂濃度は、流速×水深(m^2/s)が大きい出水時ほど高く、平水時においても流速×水深が大きいほど高かった。出水時において河床の土砂堆積量が多い地点ほど高い傾向がみられたが有意ではなかった。ばらつきは大きいものの、流路内環境の違いによって、河床間隙水域の細粒土砂濃度の傾向が異なることが示唆された。これらの結果から、河川間隙水域の細粒土砂量は、出水によって変動し、河川地形によって空間的にばらつくことが考えられる。

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