直腸癌術後多発肝転移に対してSOX + Bevacizumab療法にてCRを得た1例

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  • Completely Responsive Multiple Liver Recurrence of Colon Cancer Treated Using Chemotherapy with Oral S-1 and Oxaliplatin Plus Bevacizumab : A Case Report

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抄録

【はじめに】再発大腸癌の治慮法は,切除可能であれば,手術療法が第一選択であると考えられる.それが不可能な際は分子標的薬を含めた多剤併用による化学療法を選択するのが標準と考えられるが,化学療法のみでCRを得ることは困難である.【症例】67 歳男性.2013年1月にS状結腸癌に対してEMR を施行した.病理診断は,Adenocarcinoma in adenoma, Ip. Well differentiated adenocarcinoma in tubular adenoma with moderate atypia, invading into the submucosa, pSM(head invasion), ly1, v0, sprouting(+), INF alfa. The cut end is free of neoplastic tissue. そこで,同年3月にS状結腸切除術(D2郭清)を施行した.病理診断は,癌の遺残は認められず,最終的な進行度はSM,N0, H0, P0, M0 pStageI であった.2015年9 月,CTとMRI より多発肝転移が診断された.また,肺にも多発するすりガラス様陰影を認め,多発肺転移が疑われた. 2015年10月よりSOX + Bevacizumab 療法を開始した.Bevacizumab 7.5 mg/kgとOxaliplatin 130 mg/m^2をD1 に点滴投与し,S-1 120mg2x をD1-14 の2 週間服用した.その後1 週間休薬し,3 週間で1 コースとした.3 コース終了後の201 5 年1 2 月のCTにて肝再発巣は縮小を認めた.肺の病変は変化を認めず,腫瘍性変化より炎症性変化が疑われた.6 コース終了後の 2016 年3 月のCT では肝の転移巣は同定不能となった.治療期間中のside effect はgrade1の末梢神経障害だけであり,休薬や薬剤減量の必要はなかった.患者の経済的な理由よりその後はTS-1の服用に加療を変更した.2016 年6月と9月のCTでは病変の再出現を認めていない.【まとめ】今回,われわれは,SOX+ Bevacizumab 療法による化学療法にてQOL を維持しながらCR を得た稀な大腸癌再発症例を経験したので報告した.

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