漢字の構造分析に関わる問題 : 漢字字体の構造分解とコード化に基づく計量的分析

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タイトル別名
  • A Method of the Analysis of Kanji Structure: A New Approach Based on Structural Decomposition and Coding
  • カンジ ノ コウゾウ ブンセキ ニ カカワル モンダイ : カンジ ジタイ ノ コウゾウ ブンカイ ト コードカ ニ モトズク ケイリョウテキ ブンセキ

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抄録

本論文では,漢字の構造分析に関わる先行研究を概観し,いくつかの問題点を指摘した。それらの問題点を解決する手がかりを得るため,新たなアプローチに基づく漢字の構造分析の方法を提唱し,以下の5つの側面から検討をおこなった。(1)常用漢字をカバーする「スタンダード化された構成要素のシステム」を開発する必要性を指摘した。その開発に成功すれば,漢字の認識や漢字習得の体系化が可能になる。(2)構成要素のシステムについて先行研究における部首の扱い方を分析した結果,従来の部首を採用していないシステムが多いことが明らかになった。(3)漢字字体の構造を明確に表現・表示できれば,漢字字体の計量的分析が可能になる。そこで,漢字の線型構造分解をおこなった上で漢字字体に関する独特のコード化を開発し,アルファベット・コードとシンボル・コードのシステムを構築した。漢字コード化の結果に基づいて漢字の画と構成要素の出現頻度の測定が可能になり,漢字の構成上の複雑さを定義する新たな指標を提案する可能性が開けた。(4)英語の文や語構成における統語的階層構造と,漢字の階層構造が一部において類似していることを示した。漢字の階層構造分解をおこない,樹形図と数学的公式で漢字の階層構造を表示した。さらに藤村(1973)による漢字の階層構造の分析とコード化と,本研究による階層構造の分析とコード化を比較し,本研究の実用性を示唆した。(5)漢字の構成上の複雑さを判定する新たな指標を定義し,複雑さによる常用漢字の分類をおこなった。

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