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- <研究ノート>ムンダ民俗誌ノート(1) : 序説
- ムンダ民族誌ノートー1-序説
- ムンダ ミンゾクシ ノート 1 ジョセツ
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筆者は、ムンダ人の言語であるムンダ語を研究するために、インド・ビハール州ラーンチー市に六年あまり滞在した。ムンダ語はビハール州南部、およびそれに隣接するオリッサ州に約七五万人の話者を有する。筆者は在印中、言語データばかりでなく、ムンダ人の民俗誌に関するデータをも収集する機会があった。そこで、できるだけ詳細な民俗誌データを記述するのが本稿の目的である。 まず最初に、ムンダ民俗誌に関連したいくつかの問題点を論じる。具体的には、以下の四点である。 (1) 民俗誌記述の枠組みの提示。 (2) インドにおける「部族」概念の検証。 (3) シュリニヴァスの提唱する「サンスクリット化」を、ムンダ人の観点から再考。 (4) チョターナーグプル地方における先住民と他所者の対立を分析する、新しいモデルの提唱。 結論として、これからの民俗誌記述の枠組みを以下のごとくまとめる。 (1) 筆者の記述は言語学の立場を堅持する。つまり、ムンダ語の語彙研究を出発点として、語彙の総体として現れてくる民族文化を記述する。 (2) 筆者はあいまいな用語で、しかも植民地と結びついた「部族」という用語を使用せず、「少数民族」という用語を使う。 (3) 筆者はムンダ人の社会変動を「ディク化」(ディク=他所者)という新しい用語で呼ぶことを提案する。従来の「サンスクリット化」はヒンドゥーによる自民族中心主義であって、少数民族にこの用語は適しない。また、この「ディク化」の具体的な指標、言語、名前、あいさつなども同時に提唱する。 筆者は新たに、伝統的ムンダ社会に代表される「自然志向型社会」とヒンドゥー、ムスリム、クリスチャン社会などを表す「規範指向型社会」という用語を導入する。この分類はアイデンティティの基本要素を使って、表を用いて例示する。また、「自然志向型社会」から「規範志向型社会」への歴史的過程を「ディク化」とみなす。
Journal
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- 日本研究
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日本研究 9 264-231, 1993-09-30
国際日本文化研究センター
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390572174724232064
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- NII Article ID
- 120005681837
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- NII Book ID
- AN10088118
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- ISSN
- 24343110
- 09150900
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- NDL BIB ID
- 3541531
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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