<翻訳>オフラ・コフマン & ロザリンド・ギル 「12歳の女の子による革命」 : ガール・エフェクト言説とグローバルな生政治

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タイトル別名
  • Ofra Koffman, Rosalind Gill “ ʻThe revolution will be led by a 12-year-old girl’ : Girl power and global biopolitics”
  • ホンヤク オフラ コフマン ロザリンド ギル  12サイ ノ オンナノコ ニ ヨル カクメイ ガール エフェクト ゲンセツ ト グローバルナ セイセイジ

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抄録

原著 / オフラ・コフマン, ロザリンド・ギル

翻訳 / 近藤凜太朗

本翻訳論文は、Koffman, O., & Gill, R. (2013). “‘The Revolution Will Be Led by a 12-year-old Girl’: Girl Power and Global Biopolitics.” Feminist Review, 105(1), 83-102. の全訳である※ⅰ)。2000年代半ば、「ガール・エフェクト」と呼ばれる、途上国の少女たちを対象とする国際開発プログラムがナイキ財団によって提唱され、いまや数多くの国連機関・政府系開発機関・多国籍企業・国際NGO等が参加する一大事業となっている。本論は、北側諸国の市民(とりわけ若い女性)にガール・エフェクトの賛同と資金提供を促す種々の言説を、ポストコロニアル・フェミニズムの視点から批判的に読み解くものである。ガール・エフェクトの言説群は、西欧社会の「ポストフェミニズム」※ⅱ)的なメディア文化を背景に、北側の少女たちが獲得した「自由」を称揚しつつ、南側の少女たちへの「投資」こそが途上国の貧困や家父長制への解決策だと訴える。しかし、本論によれば、こうした論理は、女性の連帯の名の下に、途上国を貧困や家父長制的慣行に苦しむ社会として均質的に描くだけでなく、出生率の調整という、植民地支配の時代から続く生政治学的関心を強固に内包している。かつて批判されたのは、南側女性を無力で客体的な「犠牲者」として描く言説群だった。しかし、いまでは反対に、途上国社会を一挙に変革する潜在力を備えた「投資」対象として南側の少女たちを称賛する言説が増殖し、日本社会にも一定の厚みをもって存在している。本論は、フェミニスト研究がこうした新しい言説群の意味を考えるにあたって、不可欠の土台を提供してくれるに違いない。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174733468800
  • NII論文ID
    120006998910
  • NII書誌ID
    AN1055404X
  • DOI
    10.18910/79120
  • HANDLE
    11094/79120
  • ISSN
    13419595
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

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