<論説>紀元前四世紀アテナイにおける銀行家ネットワークの性質と機能

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タイトル別名
  • <Articles>The Nature and Function of the Banking Network in Athens in the Fourth Century BC
  • 紀元前四世紀アテナイにおける銀行家ネットワークの性質と機能
  • キゲンゼン ヨンセイキ アテナイ ニ オケル ギンコウカ ネットワーク ノ セイシツ ト キノウ

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抄録

従来の研究では、前四世紀アテナイの銀行家はポリス社会から切り離された存在としてとらえられてきた。しかし、史料からは彼らが市民とも何らかの関係を築いていた様子を見てとることができるため、この見解には再考の余地があるといえる。そこで、本稿では銀行家の人的紐帯を網羅的に分析することで、銀行家とアテナイ社会との関係について再検討を試みた。その結果明らかとなったのは、当時の銀行経営は人的紐帯に依拠したものであり、銀行家たちは市民との関係も積極的に利用していたということ、他方で市民側も、銀行家との結びつきを必要とするような社会的状況に置かれていたということである。加えて、このような人的紐帯は、市民たちの社会的ネットワークに即する形で形成・維持されたものであった。すなわち、ここからはアウトサイダーというよりもむしろ、アテナイ社会内部と密接にかかわる存在としての銀行家像が浮かび上がるであろう。

収録刊行物

  • 史林

    史林 100 (2), 233-267, 2017-03-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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