「ヒンドゥー教」への「改宗」 : 十九世紀インドにおけるキリスト教宣教師とヒンドゥー改革運動、そしてヒンドゥー至上主義へ
書誌事項
- タイトル別名
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- Conversion' to 'Hinduism' : missionaries, Hindu socio-religious reform movements in the 19th century and Hindu nationalism
- ヒンドゥーキョウ ヘノ カイシュウ 19セイキ インド ニオケル キリストキョウ センキョウシ ト ヒンドゥー カイカク ウンドウ ソシテ ヒンドゥー シジョウ シュギ ヘ
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説明
植民地時代は、宣教師によるキリスト教布教の時代でもあった。その影響は、諸処の社会が近代に向かっていく際に重要な役割を果たした。本稿では、インドで布教活動を行っていた宣教師による「インド」、「ヒンドゥー」の想像と、ヒンドゥー知識人の反応について、主に一九世紀の事例を元に分析する。宣教師内には二つの立場があった。一つは、偉大な文明を生み出したヒンドゥー教を賞賛するオリエンタリスト的見解であり、もう一つは、ヒンドゥー教の中心に悪弊のカースト制度を位置づけ、その徹底廃止を主張する見解である。対するヒンドゥー側は、ラーム・モーハン・ローイがキリスト教の思想と自己を一部同一化して、社会宗教改革を行おうとしたのに対し、ダヤーナンド・サラスワティーは、キリスト教に徹底的に反対の姿勢をとった。しかし、後者のヒンドゥー教への「再改宗」という概念や、個人の内面的教育が社会を変えるという考えには、キリスト教の影響を見て取ることができる。両者ともに西欧、ここではキリスト教との関係において「ヒンドゥー教」を再構築しようとした。前者は、「他者による表象を自己のものとして客体化」したが、後者は、「自己を表象する他者を、表象し返すことにより、自己を表象」したと言える。このように宣教師とヒンドゥ知識人の相互関係の中で「ヒンドゥー教」は、本質化され、それは現代のヒンドゥー至上主義の動きへと一部つながっていくこととなる。
収録刊行物
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- 年報人間科学
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年報人間科学 20-1 211-228, 1999
大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390572174758013184
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- NII論文ID
- 120004838774
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- NII書誌ID
- AN0020011X
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- DOI
- 10.18910/4575
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- HANDLE
- 11094/4575
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- ISSN
- 02865149
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles