Identity Strategy of Burakumin in Human Rights Education : Rebuilding Community through Narrative Practice

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Other Title
  • 人権教育の中のアイデンティティ戦略-「語り」の実践コミュニティの再構築に向けて-
  • ジンケンキョウイク ノナカノ アイデンティティ センリャク カタリ ノ ジッセン コミュニティ ノ サイコウチク ニムケテ

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Abstract

論文

本稿では部落出身者のアイデンティティ問題をその教育環境に照らし考察する。大阪府の部落出身者の教育環境は特措法の期限切れに合わせ、同和/解放教育から人権教育へと大きく転換しており、部落出身者が部落問題にっいて知り・学び・語る機会が減少している。その中で部落出身者はどのようなアイデンティティ管理の戦略を採用していくのか。ある部落を事例とし若者5人のインタビューデータの分析からその戦略を検証する。事例分析から得られた知見は以下の通りである。一つ目は、かつては解放子ども会が差異の集団的な気づきに貢献してきたこと。そのために負の烙印化の衝撃が緩衝されていた可能性があるが、今後は解放子ども会の消失のため、差異の認知が被差別の認識に先行する機会の一つが失われる。二つ目は、公の場で部落問題の学習機会が減少しているため、家庭での学習経験が部落出身者のアイデンティティ管理の戦略に与える影響が大きくなっていること。三つ目は、家庭で補償がされない場合ますます多くの部落出身者が部落問題について無知になり、部落問題の社会的隠蔽が促進されること。四つ目は、部落出身者に対する反差別的な役割期待が消えているために、部落出身であることはいつまでも負の属性として留まり続け、それゆえにその属性を「気にしない」こと・忘却することが支配的な言説における最善のアイデンティティ管理の策として普及するということである。烙印を肯定的な意味に読み替えるためにはネットワークが必要だが、本稿は部落出身者にとってのネットワーク資源が減少しているとの警鐘を鳴らすものである。

Journal

  • 大阪大学教育学年報

    大阪大学教育学年報 10 59-74, 2005-03

    Department of Education, Graduate School of Human Sciences, Osaka University

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