自己意識のモデル

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • A Model of Self-consciousness
  • ジコ イシキ ノ モデル

この論文をさがす

説明

中山[1999a]やNakayama[1999d]は、合理的エージェント間のコミュニケーションの問題を扱っている。そこでは、認知がコミュニケーションに深く関わることが指摘されていた。しかし、自分自身に心的状態や態度を帰属することを正確にどのように表すべきなのかという問題は、今後の課題として残されたままだった。本稿は、この課題に取り組み、前述の論文を補完しようとするものである。また、この課題を解く過程で、民間心理学の概念と認知心理学の概念の関係づけも提案される。信念という民間心理学の概念が、ワーキング・メモリーや長期記憶という認知心理学の概念と関連づけられる。そして、意識の流れも認知心理学的モデルを用いて説明される。さらに、Atkinson and Shiffrin[1971]の記憶の標準モデルを拡張し、行為のフィードバックによる影響も視野に入れた合理的エージェントのモデルを提案する。本稿の主張を簡単にまとめると次のようになる。人は信念を持つ主体であるだけでなく、欲求や意図を持つ行為主体でもある。だから、自己および自己意識の概念は命題的態度と行為と深く結びついている。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 21 23-39, 2000

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ