生活時間の男女差の国際比較 : 日本・欧米六か国データの再分析

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タイトル別名
  • A Cross-National Comparison of the Gender Gap in Time Use : Reanalyzing Data from Japan and Six Western Societies
  • セイカツ ジカン ノ ダンジョサ ノ コクサイ ヒカク ニホン オウベイ 6カコク データ ノ サイブンセキ

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説明

NHK放送文化研究所が1990年代前半に整備した日本・カナダ・アメリカ・イギリス・オランダ・デンマーク・フィンランドのデータの二次分析をとおして、性別-生活時間の四分表から労働時間構成の効果とライフスタイルにおける男女平等化の効果を識別するあたらしい指標をつくる。女性・男性による家事時間をそれぞれaとyで、女性・男性による仕事時間をxとbであらわす。また周辺分布をつぎの記号であらわす:F=a+x; M=b+y ;T=F+M; U=a+y. まず矢野眞和の定義した「不平等指数」を変形した指標としてd=T-2(x+y)を考える。実際の社会では男女の労働時間FとMとがつりあっていないといけないという制約があるとすると、dは「非対称限度」C=T-2|F-U|をこえられない。このCは周辺分布によって決まり、個入のライフスタイルの選択幅を構造的に制約している。dとCとの差をC で割って周辺分布の影響をのぞいたのが男女平等ライフスタイルの浸透度をあらわす「平等達成度」E=(C-d)/Cになる。最後にEとC による七か国の二次元散布図をAlan Siaroff(1994)による福祉国家類型に対応させて解釈し、(一)Eは有償労働市場における平等に対応していること、(二)C はプロテスタントの五か国では家族福祉の発展度に対応しているが、オランダと日本ではそうではなく、むしろ仕事時間と関連していることを示す。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 22 17-31, 2001

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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