鉛・スパイス・マット間の相互溶解度について

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  • On the Mutual Solubility between Lead, Speiss and Matte
  • ナマリ スパイス マット カン ノ ソウゴ ヨウカイド ニ ツイテ

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抄録

type:Article

Effects of additions to mutual solubility between lead, speiss and matte were studied. Results obtained are as follows: (1) Mutual solubiJity between lead, speiss and matte decreases considerably by addition of sulphide, sach as Cu_2S and ZnS. (2) SoJubilites of Pb in speiss and speiss in matte increase considerably by addition of sb, and differences of compositions between speiss and matte diminish gradually. (3) Mutual solubility between speiss and matte, Pb solubilities in speiss and matte increase by addition of Ni_5As_2. (4) Solubility of As in lead, equilibrated with speiss, is less than about 0.5%.

Pb製錬においては原鉱中に随伴するCu,Ni,Coなどの有価成分を分離回収するために,スパイスあるいはマットのような所謂捕集相を粗Pbと共に生成せしめることが屡々ある。この場合捕集相生成の目的が充分達せられるためには,先ず第一に生成された拙集相が目的成分に対して充分な捕集作用を持っていることが,基本的な条件になることは言う迄もないが,これと同時にこれらの相と,炉内において共存する他の相との間の相互溶解度が出来るだけ小さく,各々の相が確然と分離されることが,今一つの重要な条件となることは明らかである。殊に後者は随伴成分の捕集効率のみならず,主成分の採取効率にも著しい影響を与えるので,実際上極めて重要な問題である。Pb製錬におけるPbやAgの損失のかなりの部分を,これらの捕集相への溶解損失が受持っていることは周知のことである。従って捕集相の生成に際しては,関連相との相互溶解度に対して充分な考慮を払う必要がある。著者は既にPb製錬におけるPb・スパイス・マット間の平衡が,基礎的にはPb-Fe_2As-FeS系として取扱えることを明らかにし,かっこの系の複偏晶範囲で共存する三液相は,それぞれPb,スパイスおよびマットに対応するものと考えることが出来るので,この共軛組成から三相共存状態における各相間の相互溶解度について基礎的な考察を行なった。それらの結果によるとスパイス・マット間にはかなりの相互溶解度が存在し,殊にスパイスへのマットの溶解度が大きいこと,またスパイス,マットは共にかなりのPb溶解度を持ち,殊にマットのPb溶解度が著しく大きいことなどが明らかとなった。そこで本報では更に,これらの相互溶解度が,マットおよびスパイス中に屡々認められるCu,Zn,Sb,Niなどの添加成分の存在によって,どのような影響を受けるかについて検討を行なった。

identifier:富山大学工学部紀要,14(1/2)

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