「廃棄の文化」に関する理論的検討 : メアリ・ダグラスの議論から

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タイトル別名
  • Theoretical Study on the “Culture of Waste” based on Mary Douglas’s Theory
  • ハイキ ノ ブンカ ニ カンスル リロンテキ ケントウ メアリ ダグラス ノ ギロン カラ

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抄録

社会学 : 論文

昨今、いわゆる「ごみ屋敷」が世間を騒がせている。筆者は、ごみ屋敷とは単なるトラブルを超えて、ごみとモノの境界が問われる事象だと捉えている。こうした「ごみ屋敷問題」は2000年代半ば頃から社会問題化した。ごみ屋敷はそれ以前に存在しなかったわけではない。新聞記事を確認すると、少なくとも1968年には存在を確認できる。ごみ屋敷問題とは、現代のごみをめぐる社会意識や、ごみと人間の関係を象徴する現象と捉えることができるだろう。日本社会は、ごみをいかに減らし、適切に処理するかに注意を向けてきた。しかし「ごみ屋敷問題」の登場が私たちに示すのは、環境・衛生問題、道徳意識の切り口のみでは語り切れない、ごみと社会あるいは文化との間にある深い関わりだ。人間は何をごみと捉え、ごみをどのように扱い、何を得ようとしているのか。社会生活や意識の変化と関連する「廃棄の文化」として、ごみやごみをめぐる行為を捉え直す時期がきているのではないか。そこで本稿では、メアリ・ダグラスの議論の再検討を通して、「廃棄の文化」を検討する土台を構築する。第一にダグラスの秩序・無秩序の議論、両義性の議論を整理する。第二に、ダグラスの議論に向けられた批判について検討する。特にアンナ・S・ミーグスとケヴィン・ヘザーリントンの議論を論じる。第三に「廃棄の文化」を検討するうえの留意点を整理する。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 39 1-13, 2018-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174764522752
  • NII論文ID
    120006414460
  • NII書誌ID
    AN0020011X
  • DOI
    10.18910/67877
  • HANDLE
    11094/67877
  • ISSN
    02865149
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles

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