喫煙妊婦の初乳中ニコチン濃度に関する検討

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タイトル別名
  • Examination about nicotine density in the colostrum of the smoking pregnant woman
  • キツエン ニンプ ノ ショニュウチュウ ニコチン ノウド ニ カンスル ケントウ

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背景 近年,20~30歳代の生殖年齢にある女性の喫煙率が増加している。喫煙する女性の妊娠期間中の喫煙率は,一旦は減少するが,産後は再び増加に転じる傾向にあり,妊娠中の喫煙は胎児に多くの影響を及ぼすことが報告されている。しかし,産褥期における喫煙が母乳にどのような影響を及ぼすかという検討は少ない。目的 妊娠中に禁煙できなかった妊産婦の初乳中のニコチンとその代謝産物であるコチニンを測定することにより,どのような喫煙状況が乳汁へ影響を及ぼすのかその移行状態を検討し,喫煙妊婦に対する健康教育の指標とする。方法 医療従事者の再三の警告にもかかわらず妊娠期間中喫煙を継続し,かつ初乳が採取できた妊産婦12名を対象とした。分娩前に面接による喫煙状況を調査し,分娩後に初乳3mlを採取してニコチン濃度とコチニン濃度を測定した。また,分娩後から採乳までの日数,最終喫煙から採乳までの時間を計測し,さらに,妊娠・分娩・産褥状況,出生時の新生児の様子を記録した。なお,本研究に対する理解と承諾は,書面をもって確認した。結果 1)ニコチンが容易に母乳へ移行することが確認された。また,喫煙本数・銘柄の強さ・肺喫煙・喫煙間隔などは,母乳中におけるニコチン濃度に反映することが示された。2)母乳中におけるおおよそのニコチンの代謝時間が想定できた。3)肺喫煙は乳汁中への高いニコチン移行の原因になることが示された。4)喫煙妊婦は非喫煙妊婦と比較して,異常妊娠経過ならびに異常分娩様式をとりやすいことが示された。結論 ニコチンは容易に母乳中へ移行することが確認されたため,この結果が妊産婦の健康教育の指標となることが示唆された。

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