子どもの気管支喘息発作時の身体感覚の彩色表現:人形の塗り絵を用いて

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タイトル別名
  • Representation in Color of Spasms of Bronchial Asthma by Children in the Experiment of Coloring Pictures of the Human Body
  • コドモ ノ キカンシ ゼンソク ホッサジ ノ シンタイ カンカク ノ サイシキ ヒョウゲン ニンギョウ ノ ヌリ エ オ モチイテ

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抄録

子どもの絵画表現の中には意識的に描かれるもの、無意識的に描かれるもの、発達の程度により特徴付けられるものなどがある。ここでは子どもが体験した疾病、特に喘息発作を取り上げ、その体験を塗り絵で表してもらうことを試み、その疾病を表すのにふさわしい色があるのかどうかを調査した。これまでの報告では紫が疾病と関係付けられていた。結果は、気管支喘息の5歳から12歳までの子ども16人の表現を調べたところ、疾患部に使われる色は赤が有意に多かった。この結果が今までの報告と異なる理由として、指示によって意図的に描かれた絵と自由画との違いということが推測された。気管支喘息に罹患した子どもが意図的に疾病時の体の感覚を描画に表現しようとするとき、描画の発達過程の中で見えるもの、あるいは見えるであろうものを表現しようとし、困難を感じるようである。また、その解決として見えるように服を描きいれたり、記号的な意味を含む赤を多く用いたのではないかと考察された。また、疾病体験の想起やあるいはそれを表現することは不安を呼び起こすことであるのかもしれない。そういう不安から逃れるために子どもは記号化された象徴的な色(気管支喘息の場合は赤)や前述のように服を描きいれて表現を和らげたりする傾向があるのではないかということが示唆された。

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