日本企業におけるイノベーション・エコシステムのマネジメント : パイオニアのサイバーナビの新製品開発の事例分析

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タイトル別名
  • Innovation Ecosystem Management in Japanese Companies : A Case Study of Pioneer's Development of the "Cyber Navi" Product
  • ニホン キギョウ ニ オケル イノベーション ・ エコ システム ノ マネジメント : パイオニア ノ サイバーナビ ノ シンセイヒン カイハツ ノ ジレイ ブンセキ

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抄録

<p>本稿の目的は、イノベーション・エコシステムの概念を用いて、企業が新製品を開発し顧客に供給するために、外部の複数企業とのマネジメントをどのように行っているのか、さらに、そのためにどのような条件や課題があるのかを明らかにすることである。本稿ではエコシステムを、「複数の企業がそれぞれ持てるものを提供し合い、1 つのソリューションにまとめて顧客に提供するコラボレーション」(Adner, 2006)と定義し、日本企業のイノベーション・エコシステムのマネジメントとして、パイオニア株式会社のカーナビゲーションシステム「サイバーナビ」の新製品開発の事例の詳細について調査分析した。</p><p>分析結果から、イノベーション・エコシステムを製品開発と製品供給とに分類した場合、パイオニアは製品開発という自社に近い点については確実かつ特徴的にマネジメントできているが、製品供給の点では、パイオニアに課題やサプライヤーとの意識の差が存在していた。また、パイオニアは、製品販売後も継続的に必要で重要なコンテンツやサービスを提供する企業の機会主義的行動に対して、資本参加や業務提携により対応していた。さらに、イノベーション・エコシステムのマネジメントに重要な条件として、(1)自社がイノベーション・エコシステムのリーダーである場合、単なる技術の集積者でなく、パートナーに課題があれば、その課題を共にマネジメントできていること、(2)自社の属する業界にとってのキーパーツになり得る存在をイノベーション・エコシステム内のパートナーとしていること、(3)自社の既存の技術・サービス・インフラをキラーコンテンツに、エコシステムの活用と継承ができていること、の3つを提示した。</p>

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