遺伝子組み換え技術の適正利用

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  • イデンシ クミカエ ギジュツ ノ テキセイ リヨウ

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抄録

現在、全世界では飢餓人口が9億人を突破し、食糧の安全保障が脅かされている。その原因の1つに穀物の反収増加率が鈍化していることがあげられる。食糧の増産を維持していくには、遺伝子組み換え技術など農業バイオテクノロジーの利用が有効であると考えられている。本稿では、まず遺伝子組み換え技術の概要を述べ、その安全性と生態系に対する影響について述べた。次に、食糧の増産に向けて遺伝子組み換え技術を持続的に利用していくための方策を考察した。とくに、遺伝子組換え技術の持続的利用を脅かすものとして近年問題視されている除草剤耐性雑草や殺虫タンパク質抵抗性害虫について述べ、これらの事例から技術を持続的に利用していく際に有効な教訓を得た。一方で、遺伝子組み換え技術を持続的に利用していくことは、この技術が「善いもの」であることを前提としているが、このことは自然科学の知見だけでは判断できない。この判断のためには、様々な専門性を持ち寄った学際的な議論が必要であると考えられる。以上のことは、遺伝子組み換え技術だけではなく、原子力発電などを含めた科学技術一般を持続的に利用していく上で必要な議論に普遍化することができると考えられた。そこで、科学技術を適切に利用するために専門家集団および専門家を含めた市民に求められることを考察した。

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