地域と暮らしに根ざした、「もう一つの働き方」の岐路 : ワーカーズコレクティブにおける仕事概念の複合性を題材に

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タイトル別名
  • The crossroad of “alternative way of work" which has its roots in the community : the complexity of the concept of work in workers' collective
  • チイキ ト クラシ ニ ネザシタ 、 「 モウ ヒトツ ノ ハタラキ カタ 」 ノ キロ : ワーカーズコレクティブ ニ オケル シゴト ガイネン ノ フクゴウセイ オ ダイザイ ニ

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抄録

和文:本稿は、ディーセントワークの観点から着目される自主管理型の非営利事業組織の「仕事」の概念とその構造について考察することを目的としている。特に生協活動を背景として1980年代以降、食・ケア・子育て等の再生産領域で事業展開してきたワーカーズ・コレクティブ(= W.Co)に焦点を当て、W.Coが自らの活動を表現する際に用いる「コミュニティワーク」という概念の意義およびその複合性を検討した。ここでいう「コミュニティワーク」とは、「家事・育児・共育、介護、地域での社会活動等のアンペイドワークを、人々が生きていくために必要な労働」であり、しかし賃労働と異なる仕事の哲学をもって事業化する取り組みを指す。筆者は W.Co のコミュニティワーク論を辿り、その独自性を以下三つの複合性の中に見出せると仮定した。第一は報酬に対する考え方である。W.Co では経済的対価を「分配金」と位置づけ、労賃保障を重視した収入構造をとらないが、他方で労働者としての権利保障をはかろうとの意図が存在する。第二は人間が深く傷つく現代労働に対し、一貫して「オルタナティヴな働き方」の看板を掲げており、結果としてディーセントワークが重視されている点である。第三は事業を通じて、市場や公共の欠落を「補完」する側面を持つと同時に、公共や民間事業者を規制する機能を持つとしている点、つまり市場と公共の「補完」や「残余」ではなく、両者の有り方に改善を求める提案型の事業となっている点である。

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