テレビアーカイブとしての震災、原発危機

書誌事項

タイトル別名
  • Great East Japan Earthquake and Crisis of Nuclear Power Plant as TV Archive
  • テレビアーカイブ ト シテ ノ シンサイ 、 ゲンパツ キキ

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抄録

和文:テレビアーカイブは、テレビ番組の「流れ」から番組を召喚することができる。そのとき、番組を構成する出来事の「流れ」も、出来事を表象している映像と音声の「流れ」も召喚される。そして、どのような出来事が、どのような映像と音声の「流れ」によって表象されていたのかを検証することができる。さらに、他の映像と音声の「流れ」を接続することによって、それらが表象する出来事の時間と空間が拡大し、出来事の記録と記憶としての可能性も広がっていく。東日本大震災にかんするテレビの初報は、主に中継映像の「流れ」によって表象された津波の襲来という衝撃的な出来事であった。テレビアーカイブでは、そのような中継映像の「流れ」も、震災後の出来事を表象する映像と音声の「流れ」と接続される。そのとき、接続された映像と音声の「流れ」が表象する出来事は、その時間と空間をひろげながら震災の記録と記憶となっていく。同様にして、福島第一原発の危機にかんする初期報道も、メディア環境における記録と記憶としての可能性がテレビアーカイブによって明らかになる。そこでは、原発と原子力にかんする知の未成熟、そして福島の破局的事態の時間と空間が、日本における原子力開発の史相へとつながっていることが浮き彫りになる。

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