環境報道におけるNGOとメディアとの相乗作用の考察 : WWFジャパン 「戦略的舞台裏広報」 の分析から

Bibliographic Information

Other Title
  • カンキョウ ホウドウ ニ オケル NGO ト メディア ト ノ ソウジョウ サヨウ ノ コウサツ : WWF ジャパン 「 センリャクテキ ブタイウラ コウホウ 」 ノ ブンセキ カラ
  • The new win-win relationship between NGOs and Media on promoting press coverage on Climate Negotiations : An analysis of WWF Japan's "Background Media Strategy"

Search this article

Abstract

type:Article

日本の環境政策形成は,政府だけではなく,市場,市民社会,科学・技術,コミュニケーション・メディアの5つのアクターの相互作用の動態として分析される(池田 2013:21)。特に政策の方向性を左右するのは,メディアに,政府,産業界,市民社会それぞれの言説がどのように扱われるかによる。しかし日本の主要メディアは,記者クラブ制度などからくる構造的な習性として,政府や産業界を主な取材源とすることが多く,記事に偏りがみられることもあった。この状況を打破するべく,従来のNGO広報の常識を破る,新たな戦略的広報を,国際NGO のWWFジャパンが2008年から実施し,実績を上げている。本稿では,このWWF戦略を参与観察し,その成果を検証した結果を踏まえ,1995年COP15から2015年パリCOP21会議(パリ協定)までの間に,NGOが主要メディアの中でどの程度専門家として扱われるようになったかについて新聞記事テキスト分析を行った。その結果,特にコペンハーゲンCOP15以降には,WWFの言説が,政府や産業界のカウンターパートとしてメディアに取り上げられるようになったことが示唆された。同じ期間に国内NGO が,1997年の京都議定書会議をきっかけとして次第に成長して専門化し,社会的影響力を強めてきたことも観察された。これはNGOとメディアとの相乗効果を産みだす新しい関係が,環境政策の十全性を高める方向へ寄与する可能性を示している。

Journal

  • 公共政策志林

    公共政策志林 5 59-75, 2017-03-24

    法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会

Details 詳細情報について

Report a problem

Back to top