Control of discretion for Environmental standard : Research for Public works project trial

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  • 環境基準における裁量統制 : 公共事業裁判の研究
  • カンキョウ キジュン ニ オケル サイリョウ トウセイ : コウキョウ ジギョウ サイバン ノ ケンキュウ

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Abstract

本稿では,行政の行った公共事業に対して司法がどのような役割を果たしてきたのかを検討する。司法統制の功罪,意味,有効性などは,裁判所が行政庁の公権力の行使の違法性を審査し,違法な行政処分を是正する行政訴訟制度において典型的に現れる。具体的には,裁判所が行政事件訴訟法による行政訴訟を提起された公共事業について,どのような判断を下してきたかについて分析する。環境基準は行政訴訟として争われた公共事業裁判で多く争われる論点の1つである。本稿では,環境基準を争点とした取消訴訟を検討した。環境基準が争点となった裁判例は,道路事件5件,鉄道事件2件,空港事件1件の合計8件であった。最初の裁判例は,成田空港事業認定処分等取消請求事件であったが,環境基準を目途として騒音被害を認めていた。爾後の裁判例についても環境基準は,比較衡量において「失われる利益の判断基準」や「公共の利益の減殺事由」として評価されていた。判断過程審査により東京地判平成13年10月3日判時1764号3頁は,都市計画決定の判断内容として環境基準を取り上げて被害発生の可能性を認めた。本稿で検討した環境基準は,多くの裁判例が認めたように比較衡量における重要な考慮要素である。五十嵐敬喜は,行政裁量を統制するための内部規範を取り入れた立法を提案したが,この内部規範の1つとして環境基準を取り入れるべきであると考える。

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