<研究ノート>日本における夏季のWBGT(湿球黒球温度)の地理的分布に関する気候学的考察

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タイトル別名
  • ニホン ニ オケル カキ ノ WBGT(シツキュウ コクキュウ オンド)ノ チリテキ ブンプ ニ カンスル キコウガクテキ コウサツ
  • <Research Notes> Investigation of the climatology about the geographical distribution of WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature) of the summer in Japan

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抄録

type:Article

WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature : 湿球黒球温度)に関する従来の研究は,主に熱中症発生数の統計を用いて熱中症の経年的な増加傾向について調べたものや,定義式自体の特性やその妥当性について評価し,それを改変したものなどが挙げられる.一方で,鈴木・日下(2015)のような地理的視点で捉えた研究は,事例数としては不十分であると考えられる.本研究は,日本を対象にWBGT 値が高く現れることが想定される8 月において,WBGT の地理的分布傾向に対する地域性やその時の気圧配置,さらに算出されたWBGT 値に対する気象要素の特徴について考察することを目的とした. 本研究で得られた結果は,以下の通りである.WBGT 31.0℃≦ X が3時間(12~15 時)続く地点が複数現れた事例に対する気圧配置は,南高北低型になっていることが多い.WBGT が31.0℃を超えていた地点は,太平洋高気圧の縁辺部付近に当たっていて,850 hPa 面の相当温位は周辺に比べて高い値を示している.WBGT が31.0℃を超える値が出現した際,熊本は海沿いから吹く風の頻度が高い.奈良と南大東島は風向頻度に極端な偏りは見られないが,奈良は閉鎖的な地形の影響で風速が小さい事例が多く,南大東島は山などの障害物が存在しない島嶼部ゆえ,風速が6.0 m/s 以上である事例も僅かながら現れた.

収録刊行物

  • 法政地理

    法政地理 50 1-14, 2018-03-20

    法政大学地理学会

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