移動選好度から見た東京60キロ圏から都区部への移動者の移動圏の地域特性について : 東京23区における移動先選択パターンによる移動元のクラスタリング

書誌事項

タイトル別名
  • Clustering of Migrant Sending Suburban 60km Areas to Tokyo 23 Wards with Migration Preference Index
  • イドウセン コウド カラ ミタ トウキョウ 60キロケン カラ トクブ エ ノ イドウシャ ノ イドウケン ノ チイキ トクセイ ニ ツイテ : トウキョウ 23ク ニ オケル イドウサキ センタク パターン ニ ヨル イドウ モト ノ クラスタリング

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抄録

本稿では,平成12(2000)年国勢調査の人口移動データを用いて,都心から60km圏内の市区町村からの都区部への移動者について,移動者による23区内での移動先区の選択パターンに注目して移動元と移動先の間にどのような地域的関係が成立しているかを明らかにした。移動者数から算出した移動選好度を標準化したデータを用いて移動元と移動先の地域をそれぞれクラスタリングした結果,いずれにおいても連続した帯状ないしは塊状をなす地域クラスターが生成され,それらがいずれも都心のターミナル駅から郊外方面に向かう鉄道路線に沿った形で展開しており,それらの地域クラスターが移動先である23区内で生成される地域クラスターとシームレスにつながっており,それらが都心部から郊外地域に向けてそれぞれ一体化した放射状の境域を形成している事実が確認された。このことは,東京の広域通勤圏における郊外部から都区内への居住地移動に明瞭な方位性が存在することを意味する。また都区部への移動者は23区内でも移動元により近接した地域を移動先区として選択し,都心部を越えた地域を移動先とする者は相対的に少ないとの知見が得られた。このような形での地域クラスターの形成については,移動先に関して提供される情報の不均一性等が移動者の移動先選択行動に反映されているものと推察される。

収録刊行物

  • 経済志林

    経済志林 83 (4), 1-25, 2016-03-30

    法政大学経済学部学会

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