追播における堆肥を含む混合覆土が追播オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)とエゾノギシギシ(Rumex obtusifolis L.)の茎数ならびに全牧草の乾物収量に及ぼす影響

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  • 西村 光博
    九州大学大学院農学研究院植物資源科学部門農業生産生態学講座(九州大学農学部附属農場高原農業実験実習場)

書誌事項

タイトル別名
  • Stem emergence of Dactylis glomerata L. and Rumex obtusifolis L. and total yield of grasses as affected by covering the seed-bed with a mixture of composts, fertilizers, seeds and soil in directly drilled pasture sward
  • 追播における堆肥を含む混合覆土が追播オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)とエゾノギシギシ(Rumex obtusifoils L.)の茎数ならびに全牧草の乾物収量に及ぼす影響
  • オイマキ ニ オケル タイヒ オ フクム コンゴウ フクド ガ オイマキオーチャードグラス Dactylis glomerata L ト エゾノギシギシ Rumex obtusifoils L ノ ケイスウ ナラビニ ゼン ボクソウ ノ カンブツ シュウリョウ ニ オヨボス エイキョウ

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抄録

本報告では,追播における堆肥を含む混合覆土が追播オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)とエゾノギシギシ(Rumex obtusifolis L.)の茎数並びに全牧草の乾物収量に及ぼす影響について検討を行い,併せて荒廃草地の植生回復に対する新追播法の効果をも考察した. 実験は九州中部高原地域に位置する当圃場(九州大学農学部附属農場高原農業実験実習場,久住山中腹標高約950m)において行った.実験区を3つ設けた.まず,覆土区については,草地用条播機を用いて溝(平均幅3.45cm,平均深さ3.53cm)を切り,その後,手播きにより覆土(平均覆土幅5.45cm,平均覆土厚6.55cm)を行った.その覆土はオールインワンタイプのものとして,堆肥と肥料と培養土(粘土質培養土)に種子を混入したものである.つぎに,無覆土区については,堆肥と培養土を除いたものを施与した.また,対照区には,覆土区に施与するもの相当量を全面散布した. 追播オーチャードグラスのスタンドが確立する追播2年後の春における同茎数は,対照区(0.0本)<無覆土(7.63本)<覆土区(9.29本)の順となり,それぞれの処理区間において有意差(p<1%)が認められた.また,追播前における1m^2当たりのエゾノギシギシの茎数に対する追播2年後の同茎数割合は,覆土区(86.6%)<無覆土区(88.0%)<対照区(138.0%)の順となり,追播後,対照区が大きく増加したのに対し覆土区と無覆土区は減少した.特に覆土区は対照区の63%の値を示し,両処理区間には有意差(p<1%)が認められた.さらに,追播2年後における1m^2当たりの牧草の乾物収量は,対照区(261.5g)<無覆土(448.9g)<覆土区(655.3g)の順で,それぞれの処理区間で有意差が認められ,覆土区は対照区の2.5倍(p<1%)の乾物収量を示した. 本研究の結果,草地用条播機を用いた追播の際有機質である堆肥を含む覆土を行うことは追群オーチャードグラスの茎数増加にきわめて有効であり,また覆土が有する遮光機能により強害雑草であるエゾノギシギシの発芽抑制に対しても効果があることなどから,追播草地の牧草収量増加に大きく寄与することが明らかとなった.

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