共同利用水源の維持管理とリーダーシップ : バングラデシュ地下水砒素汚染地域に建設された代替水源装置とその運営

  • 筒井 康美
    九州大学アジア総合政策センター : 講師
  • 谷 正和
    九州大学大学院芸術工学研究院 : 准教授

書誌事項

タイトル別名
  • Operation and leadership for common use drinking water resource Maintenance of safe water devices constructed in arsenic contaminated area in Bangladesh
  • キョウドウ リヨウ スイゲン ノ イジ カンリ ト リーダーシップ バングラデシュ チカスイヒソ オセン チイキ ニ ケンセツ サレタ ダイタイ スイゲン ソウチ ト ソノ ウンエイ

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説明

国民の9割が地下水を飲用に利用しているバングラデシュでは1990年代に地下水砒素汚染が明らかになり問題になっている。以降、国内外の機関によって対策活動として、安全な水を供給するための装置(代替水源装置) が建設されてきた。しかし、建設された多くの代替水源装置において維持管理が適切に行われず結果的に放棄される例などが報告されている。本研究は、代替水源装置の運営(維持管理)がどうして、どのように立ち行かなくなっていくのかということについて、装置の管理組合の役員にインタビューを行い、明らかにするものである。順調に稼動している代替水源装置においては、尊敬されている人物が組合のリーダーを務めておりその人物を中心として利用世帯がまとまっていたり、日常的に装置のメンテナンスを行う人物の存在が見られた。一方、維持管理が放棄されている代替水源装置においては、組合のリーダーや、コミュニティ全体に関連する問題が見られた。今後、放棄される代替水源装置の数を減らし、代替水源装置によって安定的に安全な水を供給するためには、いいリーダーがいない、又はまとまって何かを解決することが難しいという地域社会において、どうすれば代替水源装置は安定的に稼動させることができるのかという点が重要な課題となるであろう。

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