コイのヘマトクリット値に対する採血の影響と貧血防止策としての輸血の試み

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タイトル別名
  • Effects of Blood Sampling on the Hematocrit Value in the Carp and Trials of Blood Transfusion for Prevention of Anemia
  • コイ ノ ヘマトクリットチ ニ タイスル サイケツ ノ エイキョウ ト ヒンケ

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抄録

体重500~800gのコイを用い,水温23~25℃において,Htを指標として,採血の影響と輸血の効果をしらべた.1.毎回0.2ml/100gBWずつ1.5時間おきに3回採血すると,3回目の採血後1.5時間のHtは,当初の値より29~31%低下した.2.毎回0.2ml/100gBWずつ採血し,その全量を直ちに同一個体の血管内に戻して,採血操作のみの影響をしらべた実験では,1.5時間おきに3回操作した後1.5時間におけるHtの低下率は8~17%で,実際に0.6mlの血液を失った場合より,Htの低下は軽度であった.3.0.2ml/100gBW採血後,直ちに別個体の血液を等量輸血した場合には,4例中3例に異常が認められた.4.1.5~2.0ml/100gBWすなわち血液総量の23~31%を一度に採取した場合,1~4日後のHtは当初の値より38~55%低下した.5.1.7~2.0ml/100gBWすなわち1個体から約10~13mlの血液を一度に採取した後,Ht測定に0.2mlを供した残りの血液を同一個体に戻して,採血操作のみの影響をしらべた実験では,操作後6~11日間にわたってHtはほとんど変動しなかった.6.1.5~2.0ml/100gBWの血液を一度に採取した後,直ちに別個体の血液を等量輸血した実験においては,11例中6例では6日後からHtがほぼ当初のレベルで安定し,輸血の効果が認められたが,他の5例では6日後にHtが当初の値より39~65%低下し,輸血の効果は認められなかった.従来異型血液型の存在が否定されていたコイでも,個体間に血液不適合の場合があるものと考えられる.

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