亜硫酸塩によるリンゴの褐変防止

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Prevention of brownning of apple with sulfite
  • アリュウサンエン ニ ヨル リンゴ ノ カッペン ボウシ

この論文をさがす

説明

1)α-nitroso-β-naphtholによるtyrosineの定量法について検討し藤井の方法をさらに改良した.これとともにSPがα-nitroso-β-naphtho1と反応しtyrosineの測定を妨害することを認めた.2)剥皮したリンゴを2×10^-2M SPに浸漬しその褐変を防止出来たが同じ濃度のNaClでは効果はなかつた.このリンゴの褐変およびSPの褐変防止は果実の表面でおこるものであつて褐変リンゴの表面をうすく除くと着色しない果肉があらわれ,またSPで褐変防止した果実の表面を同様に除くと果肉は間もなく褐変した.3)リンゴをSPで抽出することによつて褐変しない果汁を調製することが出来た.さらにこれを対照液として用いることによつてリンゴ果汁の褐変度を比色計により定量的に測定することができた.こうしてリンゴ果汁の褐変が初期には直線的に進行することを認めた.4)褐変した果汁はSPの添加によつて多少漂白されたが,完全に脱色することはできなかつた.5)果汁の褐変を防止するSPの量は我々が試験した条件では2~4×10^-4Mであつて比色計による吸光値0.1付近以下では外観上褐変は認められない.一方固形果実の場合1M SPに数分,1~2×10^-2M SPに5分間程度浸漬すれば充分であり浸漬時間を長くすればSPの濃度は更に低くすることができる.6)果汁あるいは果実表面に残存するSPは比較的に分解され易いことが認められた.また種々のSP処理条件のSP残存量に対する影響を試験した.7)SP浸漬によるSPのリンゴ内部への滲入を測定し主として果実の表面部に多いことを認めた.本研究は昭和39年度文部省試験研究費(代表者山藤一雄)で行なつたものであり,研究に際し種々御助言を賜つた水産大学校藤井実教授に深謝する.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ