カトレヤの組織培養に関する研究 : 1.フェノール物質の分離同定および同物質の生物活性について

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タイトル別名
  • Studies on Tissue Culture in Cattleya Species : 1.Separation, Identification and Biological Activity of Phenolics from Cattleya
  • カトレヤ ノ ソシキ バイヨウ ニカンスルケンキュウ 1 フェノール ブッシツ

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抄録

カトレヤの無性繁殖の能率的な方法として,その実用化が期待されている茎頂培養において,障害となっている茎頂組織の褐変現象を解明するために本研究を行なった.褐変現象を引き起こす主因とみなされるカトレヤ茎葉中のフェノール類の単離同定,ならびにそれらの物質がカトレヤ幼苗の生育におよぼす影響について検討を加え,次の結果を得た.1.カトレヤの組織からeucomic acid(C_11H_12O_6)とtyramine(C_8H_11ON)の二つのフェノール化合物を著量単離した.2.Eucomic acidは5ppm以上の高濃度において,カトレヤ幼苗の生育を著しく抑制した.tyramineは生育に対して直接的には関与しなかった.3.カトレヤ茎葉からの抽出物中には上記の物質のほかに,カトレヤの生育を促進する物質が含まれているものと推定される.4.二つのフェノール物質が茎頂培養時に著量生成され,培地に溶出することにより,アミノ酸代謝, TCAサイクル等の均衡がくずれ,生理的不均衡をもたらすと同時に,培地に溶出したeucomic acidの生育阻害作用により褐変現象が引き起こされるものと思われる.

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