コーンスープのチルド貯蔵に関する研究

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タイトル別名
  • Studies on the Chilled Storage of Corn Soup
  • コーン スープ ノ チルド チョゾウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

1985年から3年間にわたり,各年8月製造のR社パウチ入り業務用コーンスープを用いて,チルド貯蔵中の細菌数,マイクロフローラ及び品質の変化を調べた.解凍直後のコーンスープからは10^2~10^3個/mlの細菌が検出されたが,これらは全て通性嫌気性菌であり,偏性嫌気性菌であるウェルシュ菌やボツリヌス菌は存在しないと判断された.また,この中には低温細菌も含まれなかった.このコーンスープを10℃で貯蔵すると急激な細菌数の増加が認められ,10日後には10^7~10^9個/mlのレベルに達した.しかし,5℃,2℃及び-1℃で貯蔵したものは50日貯蔵後でも生菌数の増加は全く認められず,むしろ低下の傾向を示した.年毎に違いはあったが,コーンスープのマイクロフローラとしてはbacillus subtilis及びBacillus cereusといった芽胞形成菌が優勢であった.これらは10℃でよく増殖し,腐敗の原因となった.マイクロフローラの推移を調べた結果並びに細菌芽胞の貯蔵試験結果より,解凍直後に芽胞として存在していた菌は,2℃の貯蔵や2℃から10℃に貯蔵温度を変えることなど低温でその発芽が阻害され,更には生育不能となった.この様な低温による芽胞の発芽抑制の機構については不明な点が多いので今後検討したい.本コーンスープを2℃で50日間貯蔵しても脂質酸化の指標となるTBA値の顕著な増加は認められなかった.官能検査の結果でも2℃貯蔵品は,-20℃凍結貯蔵品と比較して識別できるような差は50日貯蔵後でも認められなかった.以上,R社製パウチ入り業務用コーンスープは,2℃以下で貯蔵すれば少なくとも50日間は品質の低下なく貯蔵できたことより,これまでの凍結貯蔵を,より経済的なチルド貯蔵に変えても安全に貯蔵できるものと考えられる.

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