移動子を用いた特性曲線法による浅海域移流分散方程式の数値解法の検討

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  • Numerical Solutions of Convective-Dispersion Equation for Shallow Sea by Shifting Particles and Method of Characteristics
  • イドウ シ オ モチイタ トクセイ キョクセンホウ ニ ヨル センカイイキ イ

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抄録

本論文では,浅海域の濃度拡散現象の解析にしばしば用いられる2次元移流分散方程式を移動子を用いた特性曲線法で数値的に解く際,計算の成否を大きく左右すると思われる計算領域に投入される移動子の数について検討を行った.検討の結果,区分領域に配置する移動子の最低数は3個以上にすべきであることが明らかになった.今回の検討では解析解と数値解を比較するという方法論を採ったため,移流分散方程式(9)式を解析解の得られる比較的簡単な(10)式に単純化し,これを用いた.一方,現実の海域における諸条件は極めて複雑であり,潮流速一つをとってみてもその時空間的な変化は大きい.このことを考慮すると,移動子の数はより多い方が好ましいことになり,結局,計算の対称とする領域の広さ(差分格子数).計算機の能力あるいは経済性と,要求精度とのtrade-offの関係から決定されるべきものであり,本論文はその際の一つの指針を与えるものである.また,移動子数に関連して,本手法を実海域に適用しようとすると,流れの収束・発散により移動子の偏在が生じ,上述の最低移動子数を下回った差分格子には新たな移動子を追加することになる.このような状況で計算時間ステップがひたすら進行すると計算対称領域全体の移動子数が計算機の処理能力を上回る膨大なものとなり,計算の進行が困難となる.この場合,移動子の総数がある数を上回ったら移動子を再配列し直し,移動子数を減らす,等の工夫が必要となってくる.ただし,再配列は多用すると補間誤差が大きくなる点に注意しなければならない.ところで,著者らは現在,有明海のような内湾における浮遊砂の移流分散・堆積現象の研究を進めている.その際の一つのアプローチとして数値計算による浮遊砂の移流分散過程の検討を行っているが,表1に示した計算条件もこのような背景のもとに決定したことを最後に付記する.

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