木質部材のボルト接合における締結力の発現とその緩和挙動

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  • Behaviors of Production and Relaxation of Fastening Force in Bolted Joint for Wood Construction
  • モクシツ ブザイ ノ ボルト セツゴウ ニ オケル テイケツリョク ノ ハツゲ

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抄録

木質部材のボルト接合部に関し, ボルト締結時におけるボルト軸カおよび木質部材内のひずみの発現, およびそれらの緩和について実験的にその挙動を明らかにした. (1)ボルト締結時において, ボルトの締付けに伴いボルト軸力および締付けトルクは増大するが, 木質部材では軸力の瞬間的な緩和が大きく, ある一定トルク以上では, 軸力の増加の割合が減少した. (2 )ボルト締結時における部材内のひずみは, 座金近傍でのひずみの増大が先行し, その後, 軸力の増加に伴い締付け両端座金を頂点とするような円錐形ないしは紡錘形状に分布し増加する傾向を示した. (3 )ボルト軸力は, 締付け直後数分間に大きく減少し, その後, 約1000分までの間は周囲の湿度変化の影響が現れず, ほぼ50%程度が緩和した. それ以降は, 周囲の湿度変化を受け緩和傾向が乱された.また, 初期軸力のボルト軸力が大きなものほど緩和の程度が大きく, とくに初期軸力1000kgfの場合には著しい緩和を示した. 本研究における実験条件の範囲内では, 初期ボルト軸カを600~800kgf に設定するのが最も効果的であると言える. (4)ボルト締結後の部材内のひずみ分布は, ボルトに近い部分での緩和が大きく, ボルトから遠くの位置でのひずみの緩和は小さかった. 周囲湿度の変化による影響は, ひずみの大きいところではそれほど大きくなく, ひずみの小さいところほど影響を受け易かった. (5 )ボルト軸カが大きく緩和するのに対し, 部材内のひずみはさほど緩和しないことから, ボルト軸カの緩和には, 座金近傍の大きなひずみを生じているところの挙動が大きく左右しているものと考えられる.

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