アフリカ産栽培稲, Oryza sativa L. と Oryza glaberrima Steud., の永年生長性の比較

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  • Comparison for the Growth Perenniality between Africa-grown Rice Cultivars, Oryza sativa L. and Oryza glaberrima Steud
  • アフリカサン サイバイ イネ Oryza sativa L.ト Oryza g

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抄録

現在, 栽培イネとして2種, O. sativaとO. glaberrimaが知られている. この内, 前者は永年生の野生種O. perennisを祖先とし, また, 後者は一年生野生種O. breviligulataを祖先種としている. 祖先種が持っていたこのような生長特性が現在の栽培種にどの程度遺伝的性質として維持されているのかを検討するため, 本実験では刈取処理後の再生力に着目し, 種間比較を行った. 材料には, アフリカニジェール川流域で採取したO. sativa(S173系統)とO. glaberrima(G174系統)各1系統を使用した. 出穂後に刈取処理を行い, その後の再生が旺盛なことが栄養生長性の継続, すなわち永年生長性に優れるものと判断した. 結果を以下に述べる. 1 )両系統とも旺盛な生長を示し, 登熱に達した. S173では収量部重の増加は出穂後茎葉部からの光合成生産物の転流によるところが大きかったが, G174ではそのような現象は認められず, 茎葉部の乾物重の増加が継続した. 2 )刈取後の再生率はS173が圧倒的に高く, しかも出穂後遅い時期になっても再生率を高く維持する特性が観察された. 3 )株の乾物重や非構造性炭水化物(TNC)含量はS173が大きな値であった. 株内の光合成生産物の蓄積量が多いことは刈取後の再生開始や初期生長のためのエネルギー量が多いことであり, これがS173の旺盛な再生力の基盤となっていたものと判断された. 4 )S173では光合成生産物が種子部と株へ重点的に分配されるため, 優れた種子生産能力を有するとともに高い再生力(永年生長性)を維持することが明らかとなった.

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