公認心理師としての学校予防教育から教育臨床へのかかわり方

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  • Work as certified psychologists in clinical and prevention activities at schools

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抄録

公認心理師法が2017年に施行され,翌年には第1回目の試験が実施された。公認心理師の仕事は,医療保健から産業労働まで広範囲にわたる。その中で本論文は,公認心理師のスクールカウンセラー(SC)としての学校での仕事に焦点を当てる。現時点では,SCは主に臨床心理士によって担当されているが,公認心理師も,法が学校での仕事を規定している以上SCとして学校教育に参入することが期待される。SCとしての公認心理師は,子どもの健康や適応のための治療的な仕事のみならず,予防的な仕事も求められる。本論文では最初に,予防教育が学校教員(主として担任教員)とともにどのように遂行されるのかが詳述される。本論文で対象にする予防教育は,ユニバーサルならびに選択的予防の特徴を持ち,クラス全体の成員を対象にして実施される。そしてその教育は,科学的根拠をもち,子どもたちの参加意欲を高めるのに十分な魅力があるものとなる。この場合,SCはクラスの中の子どもたちの様子を観察し,プログラム実施者に予防教育実施への助言とトレーニングを提供する必要がある。次にSCは,通常のクラスには発達障害やパーソナリティ上の歪みをもった支援を必要とする子どもたちが在籍していることを考慮する必要がある。また,クラスの中には学級崩壊を起こしている状態にあるものもあり,それが予防教育の実施を妨げていることもしばしば確認される。SCは,そのような学級崩壊をもたらす中核的な子どもに対処し,アセスメント,カウンセリング,コンサルテーション等を通して対応する力が求められる。現在,SCは週一回の学校勤務が主流であり,また学校での予防教育の実施を十分に行える状況ではない。学校におけるSCの仕事には限界が多数存在している現状を認識し,SCとしての公認心理師は学校での仕事と環境を改善して行く必要がある。

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