<論説>田口卯吉における「論策」と「学問」

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>"Ronsaku" 「論策」 and "Gakumon" 「学問」 in Ukichi Taguchi 田口卯吉
  • 田口卯吉における「論策」と「学問」
  • タグチウキチ ニ オケル ロンサク ト ガクモン

この論文をさがす

説明

これまで、田口卯吉の思想の評価は、必ずしもイデオロギー的評価と整合性をもって展開されなかった。本稿では、田口の「学問」(自然・社会法則の認識) と「論策」(政策論) の関係を明らかにし、これらと、彼が立脚する社会的基盤の関係を示そうと試みた。田口にあって、「論策」は、単に「学問」から演繹されてでてくるのではない。「論策」は「学問」より、むしろ社会的現実の方により近い距離をもっているのである。このことは、彼が歴史の原動力と考えた「労力社会」が、現実には産業資本家ではなく、都市の小生産者を示したことに明らかである。従って、彼の思想活動の後半期に特に著しいとされる、思想の空想的性格についても、理論信仰からくる思想の硬直性によって説明するのではなく、日本産業資本の確立によって、彼の立脚する社会階層そのものが没落するという、社会的現実との対応で考えなければならないのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (1), 1-28, 1971-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ