<論説>古代手工業の歴史地理学的考察 : 窯業を中心として

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タイトル別名
  • <Articles>Anciens arts et metiers ceramiques vus de leur geographie historique
  • 古代手工業の歴史地理学的考察--窯業を中心として
  • コダイ シュコウギョウ ノ レキシ チリガクテキ コウサツ ヨウギョウ オ チュウシン ト シテ

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抄録

本稿は従来の古代歴史地理学に於て、とかく看過されがちであった手工業の地理学的解明を主眼とする。そこでまず、他の隣接諸学の研究をたどり全国に分布する古代手工業関係地名を概観した。その中で遺跡・遺物の明確な窯業遺跡について、地名と遺跡の立地を各地方の例をあげて考察した。とりわけ代表的ないわゆる大阪南部窯址群については、歴史的・自然的背景のみならず、個々の窯の時期別分布を考慮した結果、丘陵端から奥部へ移動することや、丘陵から平野部への変換線に工人集団居住地が立地したことを想定し得た。次に奈良県に於ける宮都や寺院の瓦塼焼成のための瓦窯についても同様の考察を成すと共に、北部の寺院直属の瓦屋の位置を小字名などから考えた。このように瓦の場合はその需給関係がわかるが、須恵器については明らかでない。その点にアプローチするため、X線回折法と熱ルミネッセンス法という自然科学的方法を使用し、土器の産地想定の一例として奈良県出土の須恵器の多くが大阪南部窯址群で生産されたという結論を得た。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (5), 701-747, 1971-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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