<ノート>防人「国造丁」についての考察 : 律令時代における氏姓国造の遺制に関わって

書誌事項

タイトル別名
  • <Notes>Kokuzocho 国造丁 : Frotier Soldiers in Ancient Japan

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説明

『万葉集』巻二十の東国防人歌の作者国造丁・助丁・主帳丁・上丁などについては、古来諸説があり、国造丁・主帳丁は国造・郡主帳から出された代役者や人足で、上丁は正規の防人壮丁であり、助丁はその補助者であるなどとされてきた。岸俊男氏は、国造丁は毎国防人団の隊長、助丁は副隊長、主帳丁は庶務係幹部、上丁は上番する防人壮丁であるという卓見を示し、国造丁は氏姓時代の国造軍の遺制が八世紀中葉の防人制まで伝えられたものと論じ、直木孝次郎氏もそれを支持した。しかしこの定説化しようとする考えも、岸氏の出された仮説である。そして奈良時代に見られる氏姓国造の遺制は殆んどが氏姓の称で、制度的なものは見えず、国造丁の歌にも隊長の趣はない。おそらく、国毎防人団の長は部領使で、助丁がその副であり、国造丁は、律令国造の分身代務者で防人に本国産土神の恩頼を伝えるべき従軍地方神祇官である。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (5), 748-769, 1971-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390572174799387648
  • NII論文ID
    120006596747
  • NII書誌ID
    AN00119179
  • DOI
    10.14989/shirin_54_748
  • HANDLE
    2433/238049
  • ISSN
    03869369
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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