<論説>魏源経世思想考

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タイトル別名
  • <Articles>Wei Yuan 魏源 : His Political and Economic (ching-shih 経世) Thought
  • 魏源経世思想考
  • ギゲン ケイセイ シソウコウ

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抄録

中国近代史は阿片戦争の敗北をもって始まるが、この時期に生存し、中国の内政・外交にわたる危機を世人に訴えて、多くの改革案を明らかにした公羊学者・魏源について考察する。魏源は公羊学のとく「微言大義」の理論を根拠として、変法の必要性をのべる。まず科挙制を改革して、詩文のみに長じ実務にうとい官僚にかわって、才識があって実務に明るい官僚を任命することを提案する。次に経済政策においては、長年にわたって中国財政を困難にしてきた塩政属・漕運・河工・水利の改革を行う。また阿片の密輸に伴う銀流出という現象に対しては、阿片厳禁と銀山の開発により銀貨の安定をはかろうとする。その経済政策の目的は、「実利実功」ということである。対外政策においては、外国の兵器・養兵の長所は率直に認めて、それを取り入れ欧米列強と対抗できるだけの軍事力を養う。貿易においては、従来の中華独断貿易でなくて、合理的な貿易関係の樹立が模索される。この魏源の思想は、中国にあっては洋務・変法論へと継承され、また幕末の日本にも影響を与えている。

収録刊行物

  • 史林

    史林 54 (6), 827-869, 1971-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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