<論説>戴名世断罪事件の政治的背景 : 戴名世・方苞の学との関連において

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タイトル別名
  • <Articles>The Political Background of the Conviction of Tai Ming-shih 戴名世 : In its Relation to the Learning of Tai Ming-shih and Fang Pao 方苞
  • 戴名世断罪事件の政治的背景--戴名世・方苞の学との関連において
  • タイメイセイ ダンザイ ジケン ノ セイジテキ ハイケイ タイメイセイ ホウ

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抄録

清初、康煕末年の戴名書断罪事件にあらわれた清初の思想弾圧の政治的背景と、その当事老である戴名世と、それに連坐した方苞の思想遍歴の軌跡を辿ることにより、清初政治史の一端を明らかにしようとする。まづ、この獄と同時におこった江南科場案との関係につき考察し、両者の連関性の中に、清朝のめざす政治姿勢を追求しようとする。その中で程朱学を遵奉する清官が重要な役割を果していた点が指摘される。次に戴名世が断罪された理由を考察し、それは、彼が逸民の意識をもち続け、明末清初の史実の記述を行ったことにあったとする。それと対称的に、この獄に連坐した方苞は、逸民的志向を脱して窮理の学に進んだことが、免罪された理由である点を明らかにした。この獄は、そういう意味で、清初の政治と学術の動向を占う重要な事件であったと思われる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 61 (4), 487-523, 1978-07-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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