<論説>エジプトにおけるファーティマ朝前半期のワズィール職

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タイトル別名
  • <Articles>The Office of Vizier in the first Half of the Fatimids in Egypt
  • エジプトにおけるファーティマ朝前半期のワズィール職
  • エジプト ニ オケル ファーティマチョウ ゼンハンキ ノ ワズィールショク

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抄録

エジプト征服後のファーティマ朝は、中央集権的行政機構を確立し、同時に政務統率機関としてワズィール職も設置された。その後この機関そのものは、カリフ=ムスタソスィル時代のバドル・アル・ジャマーリーのワズィール就任をもって、性格を一変した。本稿はその前半期におけるワズィール職の実態の解明をめざしたものである。設置以後のワズィール職の推移をみるかぎり、ワズィールの政治的実権には強弱があり、その地位も不安定である。しかしながら前半期を通じてワズィール職は、原則として職業的専門官僚によって占められ、その管掌範囲も行政の分野に限定されるという共通した特徴を有していた。そして中央行政府の首長として、ワズィールの担当した職務は、客観的要請によく照応しており、彼らはカリフと臣民との「仲介者」として機能する一方、財政、軍政、民政、外交、軍事活動の諸分野にわたる監督、指揮にも携わっていた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 61 (6), 859-889, 1978-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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