<論説>一八世紀のスペイン=アメリカ貿易とフランス

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タイトル別名
  • <Article>Le commerce hispano-americain et la France au XVIII^e siecle
  • 一八世紀のスペイン=アメリカ貿易とフランス
  • 18セイキ ノ スペイン アメリカ ボウエキ ト フランス

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説明

一七世紀後半にヨーロッパ列強のうちフランスが、スペイン本国からそのアメリカ植罠地へ輸出される工業製品の最も大きな部分を供給していたことは、確実と思われるが、このスペイン=アメリカ貿易に占めるフランスの地位は一八世紀の間にどのように変化したであろうか。筆者は一八世紀のフランス=スペイン本国間の貿易の動きを同時期のスペイン本国=アメリカ間貿易の動きと比較対照した結果、つぎの事実を確認することができた。すなわち、スペインのアメリカ向け輸出は一七一〇年代から九〇年代初めまで基本的趨勢として拡大をつづけたこと、これに対してフランスのスペイン本国向け輸出は、一七五〇年代半ばまではスペインのアメリカ向け輸出とほぼ並行して拡大しているが、六〇年代以降明確に伸び悩みあるいは収縮を示し、とくに七〇年代末~八○年代にはアメリカ向け輸出の主体をなす繊維製品、わけても麻織物の輸出が激減をみたこと、である。これらの事実から、フランスは五〇年代半ばまではスペイン=アメリカ貿易において支配的地位を占めつづけていたが、六〇年代以降、とりわけ七〇年代末~八○年代にはその比重を大きく低下させるにいたった、と考えることができよう。

収録刊行物

  • 史林

    史林 63 (2), 179-207, 1980-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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