<論説>第一次国共合作の成立について

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タイトル別名
  • <Article>On the Formation of the First Nationalist-Communist Cooperation
  • 第一次国共合作の成立について
  • ダイイチジ コッキョウ ガッサク ノ セイリツ ニ ツイテ

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説明

第一次国共合作は複雑な政治状況のなかでかろうじて成立した協力関係であった。合作の目的は「国民革命」の実現であり国共両党の党員のあいだには思想面での共通性だけではなく人間関係も存在していたが、両者は「国民革命」の実現方法では異なった道をあゆんでいた。共産党は国民党を合作の対象とはみなしておらず今日では軍閥として否定的にしか評価されない陳烔明や呉佩孚に接近していた。国民党も共産党を対等の政治勢力とはみなしていなかった。両者を結びつけたのは中国内に親ソビエト勢力をもとめていたコミンテルンとソビエト政府であった。しかし国民党側の西欧列強や軍閥への接近と、共産党側の反発により合作は難行する。結局は共産党の陳炯明や呉佩孚との関係が破綻し、国民党も西欧諸国にあいてにされず互いにあゆみよることになり合作は成立する。しかし両者のあいだの矛盾は日をおってふかまりつつあった。

収録刊行物

  • 史林

    史林 63 (3), 435-470, 1980-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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