<論説>一九〇六年東京の電車賃値上げ反対運動

DOI HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>The Movements against Raising the Railroad Fare of Tokyo in 1906
  • 1906年東京の電車賃値上げ反対運動
  • 1906ネン トウキョウ ノ デンクルマチン ネアゲ ハンタイ ウンドウ

この論文をさがす

抄録

本稿は一九〇六年の電車賃値上げ反対運動の全体としての性格を解明した。三月の運動が値上げ阻止を主な課題としたのに対し、八月から九月にかけての運動は値上げそのものよりも原敬内相への攻撃を通して西園寺内閣と政友会にゆさぶりをかけることの方に重点があった。運動で主要な役割を果たした団体も、前者では社会党のほか、政友会系も含む市・区会議員らであったが、後者では反藩閥・反既成政党・政界刷新を唱える政治グループであった。原敬は、全体として反政友=反政府の運動が東京の外に波及しないよう強硬な鎮圧策をとった。春の運動に熱心にとりくんだ社会党は、やや過激な運動方針を強引にとったために、従来説明されて来た以上に重大な打撃をこうむった。この結果同党は夏の運動からおりざるを得なかった。これに批判的な党員が新たに結成したのが労働党であった。民衆は春・夏の両方の運動で激しい闘争を展開し、一時値上げを阻止した。

収録刊行物

  • 史林

    史林 68 (1), 65-102, 1985-01-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ