<論説>明治後半期の渡米熱 : アメリカの流行

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>"To-Bei" (Going to America) Boom in Late Meiji Era : American Ferer
  • 明治後半期の渡米熱--アメリカの流行
  • メイジ コウハンキ ノ トベイ ネツ アメリカ ノ リュウコウ

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説明

明治三〇年代半ばから明治四〇年代にかけて、多くの人々が渡米に関心をもち、実際に渡米していった。渡米を奨励する数多くの本が出版され、渡米協会・力行会といった渡米奨励団体も活況を呈し、新聞・雑誌でも渡米情報がかなり掲載されていた。移民の最適地アメリカ、渡米すれば稼げて学べて洋行帰りとなれる、といったイメージが語られ、人々の関心をひいたのである。そして、当時のいわゆる成功ブームのなかで、カーネギー・ルーズベルトがヒーローとしてもてはやされ、実力次第の機会と成功の社会アメリカといったイメージも、大量にふりまかれていた。こういつた渡米論やアメリカのイメージには、日本の社会情況への満たされぬ思いや息苦しさが倒錯されていた。さらに、この渡米論やアメリカのイメージを別の角度からみれば、日本人のアメリカに対する劣等感や屈辱感、そして反発が、そこには封じこめられていた。これらを露出させることになったのが、日露戦争後の日本人排斥運動・黄禍論の台頭だったのである。

収録刊行物

  • 史林

    史林 69 (3), 383-417, 1986-05-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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