<論説>古典期アテネのフラトリア : IG II^<2> 1237 の場合

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タイトル別名
  • <Articles>An Interpretation of the so-called Demotionid Inscription
  • 古典期アテネのフラトリア--IG 22 1237の場合
  • コテンキ アテネ ノ フラトリア IG 2 2 1237 ノ バアイ

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抄録

前四世紀前半に刻されたアッティカ碑文 Inscriptiones Graecae II^<2> 1237 の分析を通して古典期アテネのフラトリア(兄弟団) の構造の大枠を見定め、ポリス市民団編制の実状把握の手掛りとすることに、本稿の目標は置かれる。本稿は先ず碑文のフラトリア入籍規定に現れる二つの集団 Demotionidai と Dekeleieis のうち、デケレイエイスこそ上記碑文を遣したフラトリアの名称であり、デーモティオーニダイはそのなかの特権保有者たちのグループと解すべき旨を明らかにする。後半部では、この前提に立ち、他の関連史料をも援用しつつ、入籍規定本文より古代ギリシアの家とポリスとをつなぐ最も重要な中間的社会集団フラトリアの内部購造を読みとる作業を行う。古典期アテネのフラトリアは、貴族政期以来の家柄を誇るゲンネータイ(氏族員) と然らざるオルゲオーネスとから成ると同時に、両者を共に含むティアソスなる下部単位によって構成される側面をももつ。この二つの編制原理の並存・交錯にフラトリアの組織上の特徴があり、前四世紀以降は少くとも入籍資格審査に関し、ゲンネータイの優位が消滅したのであろうとするのが、本稿の結論である。

収録刊行物

  • 史林

    史林 71 (5), 677-713, 1988-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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