<論説>八・九世紀の内裏任官儀と可任人歴名

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  • <Articles>The Ceremony of Appointment at the Imperial Palace (dairi ninkangi 内裏人官儀) and the List of Appointees (kaninjinrekimei 可任人歴名) in Eighth and Ninth century Japan
  • 8・9世紀の内裏任官儀と可任人歴名
  • 8 9セイキ ノ ダイリ ニンカン ギ ト カニンジンレキ メイ

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抄録

八世紀の任官儀礼を復元する試みは、早川庄八氏の研究によって飛躍的に進展し、平安時代の任官文書の多くが八世紀にも存在したことが明らかにされた。しかし、早川氏が注目した「除目聞書」については、一〇世紀以前に遡るという確証がなく、正倉院に伝わる二つの官人歴名を「除目聞書」の先駆的文書とみる仮説には疑問がある。『西宮記』や『北山抄』には大間や清書(召名) とともに下名(おりな)なる任官文書がみえ、内裏任官儀で用いられた本来の下名には、参議以上を除く任人全員の名を記入したというので、正倉院の二つの官人歴名はこの下名に相当するものと考えられる。また、従来の研究では見逃されているが、『内裏式』や『儀式』には、南門外に参集した任人を可任人歴名(のちの下名) によって点検する唱計の儀や、親王の除目と臣下の除目とを区別して読み上げる唱名の儀など、きわめて古式の内裏任官儀が定められており、こうした任官式文を検討することによって、これまでとは異なる任官儀礼の変遷史が描き出せるように思われる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 78 (2), 249-287, 1995-03-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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