<論説>銀と石油 : 善隣外交とメキシコのカルデナス改革の後退、一九三八-四〇年

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書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Silver and Oil : The Good Neighbor Policy and the Retrenchment of Cardenas's Reforms, 1938-1940
  • 銀と石油--善隣外交とメキシコのカルデナス改革の後退,1938-40年
  • ギン ト セキユ ゼンリン ガイコウ ト メキシコ ノ カルデナス カイカク

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抄録

一九三八年三月、メキシコのカルデナス政権は外国石油資本を接収した。本稿はこの問題に対する米国の政策について次の四点を明らかにした。まず、通貨危機をはじめとする困難に直面していた改革期のカルデナス政権に、ローズヴェルト政権は大規模な財政援助を行なう用意があった。第二に石油国有化は援助の可能性を絶ち、メキシコの経済・政治情勢をさらに悪化させ改革を後退させた。第三に財務省と大統領が中心となって米国は銀国際価格を高い水準に設定してメキシコ銀の購入を続けた。これはメキシコ国内情勢の悪化とスペイン内戦や世界大戦勃発のような国際情勢悪化の醸成する危機感によって、カルデナス政権の崩壊にともなう混乱を防止する予防政策となった。第四に、石油紛争をめぐって悪化しつつあった両国関係も、ナチス・ドイツのフランスへの侵攻にともなう米国側の危機感の深まりとメキシコ側の軍事協力の申し出とで改善へと進んだ。この過程で、メキシコは米国への従属を深めた。

収録刊行物

  • 史林

    史林 80 (5), 745-776, 1997-09-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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